宿題だんごむしSS… 一応合同SSの続きです。続いてないけど…なんだこれ。

 竜崎の目は、なぜかいつものような真っ黒じゃなく、玉虫色に光っていた。その変化する瞳の中に、僕が映っていた。やがて輝きは徐々におさまり、映しこんだ僕ごと闇の瞳に吸い込まれて消えた。
「そう、ですか。まつださんがわたしの……ですか」
「え? 僕が竜崎のなんだって?」
 僕の問いに竜崎は答えず、また体を縮こまらせてまるくまるくなってしまった。
「ちょっと、あの、竜崎!?」
 肩を掴んでゆさゆさ揺すったけれど、目を閉じて頑に丸くなった竜崎は、ころりころりと転ぶだけで、その体を開こうとはしない。
「そんな乱暴に揺すってはいけません」
 ふいに声が響いて、僕は顔をあげる。
 そこには白い髭を生やし杖を持った老紳士。なんだワタリじゃないかと僕が安堵した途端に、竜崎の肩を掴んだ手を、ピシリと杖で叩かれた。
「いけません。だんごむしのことを大切にする人でなければ、立派なだんごむし使いにはなれません」
 え? だんごむし? だんごむし使い?
 僕は混乱してわけがわからない。
 だんごむし使いってなんだ?
「よろしいですか。だんごむし使いの基本は『だんごむしを大切にする』です」
「あの、だんごむしってなんの…」
「そこにいるではありませんか。かわいいだんごむしが」
 ワタリが杖で指したのは竜崎。硬く丸くなった竜崎。
 竜崎が……だんごむし?
「あなたはそのだんごむしにだんごむし使いとして認めれられたのですから、立派なだんごむし使いになる義務があります」
 厳しい口調で言われたものの、意味がわからない。
 認められたって、竜崎に?
「だんごむしはこんなふうに丸まったままほとんどを過ごします。その間、外敵からだんごむしを守り、時折やさしく体を撫でてあげたりするのが、だんごむし使いの仕事です。さあ、やっておあげなさい」
「はあ…」
 僕の戸惑いをまるっと無視して、ワタリは説明を続け、そう促す。
 目の前に、裸でころりと丸まっている竜崎、いやだんごむしの背中をそっと撫でた。滑らかな感触が手のひらに伝わる。
 思ったよりも硬質なその背を背骨をなぞるように、繰り返し撫でる。
 ちらりと見ると、ワタリは満足そうに微笑んでいる。これでいいらしい。
「そうして撫でていると、だんごむしは気持ちよさそうに足を少し開きますから、そうしたらそっと股のところを撫でてあげてください」
「え?」
「また、のところを、なでて、あげて、ください」
 ワタリはゆっくりと言葉を区切りながら言い直した。
 いやそういうことじゃないんだけど。
 動かずにいると、ワタリが柔和な目を一瞬鋭く光らせた。こ、こわい!
 僕は、少しだけ開き始めた足の間にそっと手を差し入れて、内股を撫でつける。すべすべとしたそこは、触れると気持ちよくて、僕はどんどん手を足の付け根のほうへ進めた。
 くるりと丸まっただんごむしの内側は、少し湿った空気に満たされ、淡い熱を漂わせている。その中心にあるのは、僕にもある器官。しんなりうなだれて、薄い茂みに囲まれ眠っている。
「撫でてあげて、ください」
 ワタリの声がやさしく響く。
 僕は、言われた通りに撫でる。
 ふにゃりとしたそれを手のひらで包むようにして、撫でる。
「だんごむしを指でつまんではいけません。そう。包み込むように。大切に」
 これがだんごむし? いやだんごむしのムスコのだんごむし?
 なんだかどうでもよくなってきた。
 とにかく、やさしく、大切に。
 それが、だんごむし使いの基本。
 硬くまあるくなっただんごむしの、やわらかな内部に触れられるのは、だんごむし使いの特権だ。
 もうワタリも満足げにうなずきながら黙って見ている。
 竜崎がだんごむしってどういうことだよ、とか、だんごむし使いってなんだよ、とかそんなことも吹っ飛んだ。
 今は目の前のだんごむしに夢中だ。
 頑に丸まり、僕だけしかその内側に導かないだんごむし。
 僕のかわいい、だんごむし。
 いつか、その丸めた背中を伸ばしてくれるだろうか?
 
 


 おしまい

意味不明ですね。私もわかりません。突然「だんごむし使い」というのが降ってきました。

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