某月某日に行われた突発竜崎受えろちゃっとの中で生まれた珠玉の名作「だんごむし」。打ち合わせなど一切なく、方向性も決めず勝手にリレーした割にまとまっているのは、シンクロ率400%を超える「悔しいけど、松Lなのよね」な竜崎スキーたちのなせる技。
途中で終わっておりますが、宿題にしたので、そのうち参加者たちが、それぞれの解釈に基づいて、続きなり派生新作なり、イメージイラストなどをサイトで発表してくれることでしょう〜! おたのしみに!

だんごむし

 竜崎はいずれ、まんまるな球体のようになって、全てのものからの圧力に耐えうる体を手に入れようとしているようだった。
 そうか。・・・と僕は気付いた。だから彼の背骨は丸いのだ。
 丸い背骨は竜崎の自衛手段だったのだ。

 そのまんまるな竜崎の丸い背骨の凹凸を、僕はそっとなぞってみる。
 首筋から肉付きの薄い尾骨へと連なる隆起は、なぜだかとても扇情的だった。

 僕は球体に近づこうとする竜崎を救わなければ・・と思った。
 竜崎はそんなこと、望んでいないかもしれないけど、そんなことは問題じゃなかった。
 僕は必死で浮き出た背骨や、その先の尾てい骨を手のひらでさぐり、どこかに隙はないモノかと撫で回してみた。
 必死の僕の指先は、かたくなな団子虫を感動させたようだった。
 ところどころ、思い出したように、人を恋しがるように、びくりと震える。
  球体の内側にたどり着く入り口を探しながら僕はだんだん悲しくなって来た。
 この団子虫が拒絶している世界に僕も含まれているんだろうか。

 だけどこのままにしていいんだろうか?
 長い年月でちいさくちいさく固まった、化石のようなこのダンゴムシを僕がほぐしてやらなければ、と 。

 ここで手を離してしまえば、竜崎はまた土の中で眠るダンゴムシみたいに、頑に身を丸めて、外の世界に出ようとしないのだろう。

 「竜崎・・・」僕は、固い台地にじょうろでみずを染みこませる様に
 竜崎に呼びかけた。

 僕のしていることなんて、役にも立たないのだろうけれど、でも僕は竜崎のそのまるまった背中が、拒絶しながらも外へ向かって何かを求めてるような気がしたんだ
 返事はない。けど、もう一度呼び掛ける。
 「竜崎」

 ちいさなやわらかい貝殻のばすように僕は彼の背中にふれる。

 竜崎が顔の前で組んでいた腕の間から僕を見た。
 揺れている瞳。無駄じゃないのだと、僕のひとりよがりじゃないんだと思うと、胸が熱くなった。

 団子虫は、少しずつ背中を伸ばそうとしている。
 そうだよ、竜崎君は団子虫じゃない、頭がよくって頑固なれっきとした人間じゃないか・・・・。
 僕は嬉しくなって、さらに団子虫の背中から腰のアタリをなでまわす。

 ゆっくり優しく、でも男の力で、竜崎の足を下ろさせて体を伸ばさせる。
 竜崎はぎこちなかったけど抵抗しない。また目をそらそうとするので、こっちをむいた耳にキスしてみた。

 この背は彼のやわらかい鎧なのだ。
 これを僕がういでしまうことの覚悟というのを、僕は空気と一緒に腹の奥に飲み込んだ。

 竜崎はまた身をすくめようとしたけど、もう僕のからだと密着してるからできなかった。

 ぼくは、不意に田舎の少年時代を思い出す。
 団子虫は、退屈な田舎で時間をもてあますヤンチャ坊主の僕にとって格好の遊び相手だった。
 かたく縮こまった体をつまんで手のひらに乗せる。
 手のうえで、転がして、温かくなってくると、団子虫は僕の手の上で安心して動き出すのだ。
 ・・・ぼくは、竜崎を抱きしめた。温かくなって、もっともっと体をほどくといい。

 竜崎は僕の肩口に顔を埋めて、小さい小さい声で「ばか、まつだのばか、」と繰り返した。 余裕が無いのは僕も一緒で、泣きたい気持ちだって、竜崎も一緒なんだと思う。

 呟きと共に耳許にかかる息に、僕も肌を粟立たせる。
 竜崎がもう一度「まつだのばか」と言ったところで、僕は「どうせ馬鹿ですよ」と言って、竜崎の縮こまった肩をぐいと開いて、目線を合わせた。

以下次号!各自宿題!

      
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